恵方巻き大量廃棄とコンビニ大手3社のSDGsウォッシュ

SDGs

先日衝撃的なニュースが耳に入った。「恵方巻き、10億円分廃棄 関大名誉教授が推計

タイトルの通り恵方巻きが10億円分ほど売れ残り廃棄されるという記事だ。鬼に豆をぶつけることにより邪気を追い払い、一年の無病息災を願うという日に、食品ロスという人災を引き起こしている。恵方巻き問題は我々日本人と資本主義が生み出した魔物だ。豆を撒かれるべきは鬼ではなく恵方巻き、はたまた我々ではないのか?

恵方巻きの歴史

戦前に大阪鮓商組合が販売促進の目的で節分の日に巻き物を食べる習慣を根付かせようとした。1990年代にコンビニ各社が節分の日に恵方巻きの販売を開始し全国展開を始めた。現在では大きな社会問題を引き起こしている。

そもそも食品ロスとは?

環境省の「我が国の食品廃棄物等及び食品ロスの量の推計値(平成27年度)等の公表について」によると食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄される食品のことだ。日本では年間2,842万トンの食品廃棄物等が出されている。このうち食品ロスは646万トンだ。この数字は世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量(平成26年で年間約320万トン)の約2倍に相当する。

SDGsと食品ロス

2015年9月に国連の「持続可能な開発サミット」で採択された2016年から2030年までの国際目標であるSDGs。貧困を撲滅し、持続可能な世界を実現するために17のゴール(目標)が設定され、17のゴールの下に169のターゲットと呼ばれる詳細な目標がある。

SDGsは全人類に関係する問題を対象としている。それ故SDGsの目標達成のためには、国による取り組みだけでなく民間、市民一人一人による努力が必要だ

出典 外務省

食品ロスが当てはまるのは目標12「つくる責任 つかう責任」持続可能な消費と生産パターンを確保する。ターゲット12.3「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。」だ。

つくる責任 つかう責任」とは、経済成長と持続可能な開発の両立を目指すために、従来の生産・消費のあり方から脱却し環境に配慮した資源の利用や生産、消費を行うことを目的としている。その為に、小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させたり、企業に対し持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励している。

元来、小売業者がSDGs目標12「つくる責任 つかう責任」へ対する取り組みを行っていれば、恵方巻の大量廃棄問題など起こるはずがない。しかし現実問題、10億円分ほどの廃棄が出ている。ということは、そもそも小売業者が目標12「つくる責任 つかう責任」へ対する取り組みを行っていないのか、またはSDGsウォッシュであるかのどちらかだ。

SDGsウォッシュとは?

自社の環境への取り組みが、実際には実態がなかったり過剰な演出であるにも関わらず、自社のPRのために使っている企業へ対し、1990年代から環境系NGOがグリーンウォッシュと批判した。グリーンウォッシュとは体裁の良いごまかし、歪曲するという意味を持つWhitewash(ホワイトウォッシュ)という単語に環境に配慮したという意味のGreenを組み合わせた造語だ。それが派生して、実態が伴っていないのにSDGsに取り組んでいるように見せかける行為などをSDGsウォッシュと呼ぶ。

そこで、コンビニ大手3社(セブンイレブンファミリーマートローソン)のSDGsへの取り組み、特に目標12、ターゲット12.3に焦点を絞って調査した。

セブンイレブンの取り組み

株式会社セブン‐イレブンジャパンのHPには、サステナビリティマネジメントと題したページがあり、SDGs達成に向けた取り組みを掲載している。セブンイレブンは、SDGs達成へ向け取り組むべき5つの重点課題と銘打ち、重点課題の3番目に「商品、原材料、エネルギーのムダのない利用」を挙げている。そして対応するSDGs目標として目標12「つくる責任 つかう責任」を挙げている。

国に約20,000店舗を展開しており、事業活動により消費するエネルギーや廃棄物を削減することは、持続可能な社会の実現に向けて大きな影響を持つと考えています。一方で、そうした無駄の削減は、商品や原材料のコスト削減、またエネルギーコストの削減にもつながります。そのため、私たちはバリューチェーン全体で、商品、原材料、エネルギーの無駄をなくすことを最重要課題の一つと捉え、その対策に取り組んでいます。

株式会社セブン‐イレブンジャパン サステナビリティマネジメント

取り組みの一例として、食品リサイクルが挙げられる。販売期限切れ商品の飼料化・肥料化や廃食油のエネルギー化だ。食品残さのリサイクルは25都道府県で実施、廃食油のリサイクルは46都道府県で実施している。2015年度の食品リサイクル率は52.4%だった。

ファミリーマートの取り組み

ファミリーマートのCSRハンドブック2018によると、5つの重要課題を設定し重要課題1環境への配慮において、目標12「つくる責任 つかう責任」を挙げている。

ファミリーマートは廃棄物の発生抑制と再生利用を重要課題と捉え、発注精度を向上することで食品製造における無駄な廃棄の削減に取り組んでいます。

株式会社ファミリーマート 廃棄物削減への取り組み

ファミリーマートでの食品リサイクルは2016年度3566店舗で実施され、同年の食品リサイクル率は47%だった。

ローソンの取り組み

株式会社ローソンのHPには、SDGsに対応する取り組みというページがあり17の目標に対してローソンの取り組みが書かれており、目標12「つくる責任 つかう責任」には廃棄物削減のページがありローソンの取り組みが掲載されている。

食品廃棄物の削減のため、発生抑制と再生利用(廃油リサイクル、売れ残り食品の飼料化・肥料化)を中心に取り組んでいます。

株式会社ローソン 廃棄物削減

ローソンでも食品リサイクルが実施されており、販売期限切れ商品の飼料化・肥料化を行っている店舗は2017年度2845店で、同年の食品リサイクル率は44.5%だった。

3社はSDGs達成へ向けた取り組みを実施しており、目標12「つくる責任 つかう責任」に焦点を絞った食品廃棄物の削減に取り組んでいる。その取り組みの一環として食品リサイクルの促進を行っている。各社の廃棄物削減へ向けた努力を感じることができる。

しかし、その一方で毎年節分の日に恵方巻きの大量廃棄問題を引き起こしている。3社ともSDGs目標達成のために廃棄物の削減を行うとHP上に記載しているにも関わらず、恵方巻きを大量廃棄している。この現状を照らし合わせればSDGsウォッシュであると批判されても仕方がないと私は思う。

なぜSDGs目標12「つくる責任 つかう責任」に取り組んでいる企業が、その一方で真逆の行いである恵方巻きの大量廃棄が行われ、SDGsウォッシュであると非難されないのか?

1番の原因は、SDGsその物の認知度不足だ。電通が、全国10~70代の男女計1,400名を対象に、SDGsに関する認知調査を行った。調査によると、SDGsの認知率は全体で14.8%だった。こん数字は、同社が2018年1月に実施した「電通ジャパンブランド調査2018」では、世界20カ国におけるSDGsの平均認知率は51.6%だった。世界平均と比べ明らかに低調だ。

SDGsそのものの認知度が低いため、各企業のSDGsへの取り組みまで興味が到達しておらず、企業がSDGsについてHPに記載している文言と企業の実際の行いを比較し批判する市民からの声が存在しない。監視し批評する市民・機関が存在しない限り、企業は企業イメージの向上のためにSDGsを使い、その一方で、利益を追求するためにSDGsと真逆の行動をとる可能性がある。それを止めるためにはSDGsの認知度向上を図ると共に、企業のSDGsへの取り組みがSDGsウォッシュか、どうかを監視する市民や機関を創設する必要がある

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執筆者 日下部智海

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